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政治・行政・メディアの専門性の劣化を食い止めることは可能か

OUTLINE

輿論(よろん)と世論(せろん)は少なくとも戦前までは別の言葉でしたが、現在この言葉の区別がついている人はもはや少数派と思われます(注1)。輿論(よろん)は「万機公論に決し私に論ずるなかれ」という(明治政府の)五箇条の御誓文(第一条)を源流とする「専門家による公開討議」です。これに対し「世論(せろん)」は「大衆による勝手気ままな意見」で、輿論を戦わせている専門家はこれに惑わされてはならない、と考えられていました。しかし昭和21年に公布された当用漢字表から「輿」が抜け落ちたことで、事実上「よろん」と「せろん」の区別がつかなくなり、現代は「世論(よろん)」だけになってしまいました。輿論(=公論)はどこかへ吹っ飛んでしまった、というわけです。茶番に成り下がった国会での俗悪な論戦を観察するだけでこの事実が確認できます。

2020年 11月20日 開催

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GUEST PROFILE

佐藤卓己(さとう・たくみ)
佐藤卓己

1960年生まれ。京都大学大学院教育学研究科教授。メディア史、大衆文化論を専攻。2020年にはメディア史研究者としては初めて紫綬褒章を受賞した。
著書に『メディア論の名著30』(ちくま新書)、『大衆の強奪―全体主義政治宣伝の心理学』(創元社)、『流言のメディア史』(岩波新書)など。

村上陽一郎 (むらかみ・よういちろう)
村上陽一郎 (むらかみ・よういちろう)

1936年東京生まれ。科学史家、科学哲学者。東京大学教養学部卒業、同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。東京大学教養学部教授、同先端科学技術研究センター長、国際基督教大学教養学部教授、東洋英和女学院大学学長などを歴任。東京大学名誉教授、国際基督教大学名誉教授。『ペスト大流行』『コロナ後の世界を生きる』(ともに岩波新書)、『科学の現代を問う』(講談社現代新書)、『あらためて教養とは』(新潮文庫)、『人間にとって科学とは何か』(新潮選書)、『死ねない時代の哲学』(文春新書)など著書多数。

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